2020年03月13日 (金)
2020年3月9日(月)
向精神薬の種類と使用について 岩渕 知 施設長 向精神薬、中枢神経系に作用する薬剤の総称
向精神薬には、抗精神病薬・抗うつ薬・気分安定薬・抗不安薬
睡眠薬・抗てんかん薬などがあります。
抗うつ薬には、
第1世代の抗うつ薬の三環系抗うつ薬と第2世代の抗うつ薬の
四環系抗うつ薬があります。
抗てんかん薬には、
脳全体が発作状態になる全般発作タイプの治療薬と、脳の
一部分に発作が起こる部分発作タイプの治療薬があり、
どちらも第一選択と第二選択(発作型などで使う薬に違いが
ある)があります。当荘では第一選択が使われてます。
向精神薬の効果と副作用
睡眠導入剤・・工夫をしてもなかなか寝付けない、早朝・
夜中に何度も目が覚める。暗いうちに目が
覚めてしまうなどの症状を改善します。
抗不安薬・・・不安でそわそわして落ち着かない。考えたく
ないことが頭から離れない。胸がドキドキする
息苦しくなるなどの症状を和らげます。
この二つは「日中に眠気が残る」「ふらつく」「足腰に力が
入りにくい」などの副作用が生じることがあります。ほとんど
の場合、薬の種類や量を調整することで改善できます。
抗うつ薬・・・気分が落ち込む、何をしても楽しめない。気力が
わかない。体がだるい、食欲がない。などの
抑うつに伴うこころと身体の症状を改善します。
薬の効果は、ゆっくり現れるのですが、副作用は早期に、
現れることがあります。「軽い眠気」「のどの渇き」「便秘」
「立ちくらみ」「胃のもたれ」などが比較的よくみられる
副作用です。飲み始めから数日で慣れるので程度が軽ければ
飲み続けます。
高齢者に向精神薬を使用する場合の原則
・非薬物療法を優先する。
・薬剤は少量から開始し、減量・中止の可能性も検討する。
・他の処方薬剤もチェックする。併用注意・併用禁忌を
確認する。
・身体疾患や副作用に注意する。
主な睡眠薬の種類と作用時間
非ベンゾジアゼピン系 長短時間作用型
ベンゾジアゼピン系 短時間作用型・中間作用型・長時間作用型
タイプと特徴
長短時間型 ・半減期2~4時間
・入眠障害に有効
・持ち越し効果が起こることはほとんどない
短時間型 ・半減期6~10時間
・入眠障害、中途覚醒に有効
・持ち越し効果があまり生じない
中間型 ・半減期12~24時間
・中途覚醒、早朝覚醒に有効
・持ち越し効果を生じることがある
長時間型 ・半減期24時間以上
・中途覚醒、早朝覚醒に有効
・薬の作用が1日中ずっと持続する
(持ち越し効果=薬の蓄積)
中間型と長時間型、当荘では使用しておりません。
利用者様の特徴をよく知っておき、薬の半減期を良く理解し
使用することが大切です。また行動を落ち着かせるために、
向精神薬を過剰に服用させることは、虐待にあたります。
利用者様の状態確認を怠らず、半減期に合わせた服用を、
当荘では特に心掛けております。